勤続53年の大田さんに伺った、タカギオリジナル開発【80ガーゼ袋編み生地】誕生秘話

勤続53年の大田さんに伺った、タカギオリジナル開発【80ガーゼ袋編み生地】誕生秘話

本日は、タカギ勤続53年の大先輩、大田さんに、タカギのオリジナル開発生地【綿100%ガーゼ袋編み生地】について、誕生までの思い出話を綴っていただきました。イラストはご本人そっくり!大田さんの笑顔はとてもすてきで、みんな癒されています(^^)

大田さん

ぜひ、最後までお付き合いくださいませ~。

大田さん15歳でタカギへ入社

私が株式会社タカギに入社したのは、今から53年前に遡ります。
その頃の会社名は「髙木莫大小株式会社」。規模は売上げが1億弱で、従業員は30名程でした。近鉄八木駅と真菅駅の間に体育館のような建物が一軒ぽつんとあり、そこで倉庫、裁断、縫製をし、出来上がった商品は今井町の本宅の方へ運び検査、包装、出荷をしていました。(余談ですが、「莫大小」と書いて「メリヤス」と読みます。大きくなったり小さくなったりするから莫大小と教わりました )

その頃は、橿原地区が衛生帯を製造するところが多く、タカギもショーツよりも衛生帯(のちのサニタリーショーツ・生理用パンツ)を主流に製造に着手していました。

初代社長の商売哲学(人様を裏切らないこと、信用第一)に則って、奥様のアヤメ専務が実行・実践し、社員と一丸となって頑張っていた懐かしい時代を思い出します。

新入社員として、女性3人と男性1人の計4人が入社しました。
内2名は縫製業務へ、1名は縫製工場管理へ、私は資材管理に配属なりました。
資材管理とは、資材全般、原糸仕入からの編立管理、染色の加工管理と生地の主資材と副資材と範囲が広かったので、覚えるのが大変でした。

1966年当時の日本製下着の主流は…

・ナイロンスパークジャージイ(鹿の子無地)
・テトロンフライス
・綿フライス
・ナイロン強撚天竺 など主流でした。

ナイロン強撚天竺は、タテヨコの伸びはありましたが、フライス生地そのものがタテ方向に伸びず、ヨコ方向に伸びる性質のものが多かったです。
まだポリウレタン繊維が普及しておらず、 シームレス靴下にFTY(ポリウレタンにナイロンをカバーリングした糸)を使用し、ストレッチのある商品が出回って 来た少しあとに、CSY(ポリウレタンを芯にして綿で覆うたもの)が出現しました。

ストレッチ性のあるベア天竺生地が登場、日本のショーツ生地の主流となる

タテヨコ自由自在に伸びる天竺生地が できました。
ポリウレタンは、そのものが伸ばせばいくらでも伸びるため、装置がなければ編めず、普及してきたのは、ポリウレタンを回して送る積極送り装置の普及とともに世に出てきたように思います。
綿とポリウレタン(ベア)を引き揃えで編むことによって、綿ベア天竺が誕生しました。
2本引き揃えで編むことは、ベアのひっくり返りが発生し綺麗な生地になるまでに携わった技術者は、どこでも苦労されたのではと思われます。( 当時、積極送り装置を持っているところが少なく、装置がなくても編めるFTY糸と綿糸の組み合わせで、片袋編みの生地が圧倒的に使用されていました)

ついに!8080袋編み生地の誕生

綿100%ガーゼ組織

ある日、寺田勝メリヤスさんが、タカギのアヤメ専務のところに機械導入の相談に来られました。
最初は、12寸24Gの機械を導入するにあたり何を試作するかの検討に入りました。フライス小寸の24Gというのは、相当目が細かく相当細い糸が要求されることになり、当時の高級超長綿の80/1エジプト綿糸を使用することになりました。
80/1番手というのは、綿そのものの毛足が長く上質の綿でないとできない糸です。エジプト綿に変わり、現在ではスーピマコットン米綿を使用。
通常のフライスならばさほど変わり映えしないため、表天竺裏天竺で10本置きに接結することで、裏生地と表生地の間に空気層ができ大変ソフトな生地ができました。

それはそれは軽くて柔らかく何とも言えない風合いの生地でした。これが8080袋編の誕生です。

この生地は、小寸でサイズ毎に機械を変えて編んでいますので、商品に脇接ぎがない(脇シームレス)であることも大きな特徴です。非常に繊細な糸であり、編み機の設定からも生産量は通常の半分しか編めません。

このことからも、大量生産を優先する今の時代に反した、ことことゆっくりと編み立てる、日本製の非常に貴重な生地であることがわかります。

日本の空洞化に伴い、編機、ニッター、染工場も点々と変わりましたが、8080袋編の良さだけは、失うことなく今尚受け継がれております。
あれから月日は経っても、皆様に愛され超ロングラン商品となっているのが嬉しい限りです。

色々な繊維を扱ってきましたが、ふと気づいたことがありました。
それは人の肌は天然であることでした。したがって、天然の肌に対して天然素材でいかに対応できるかが開発者にとっての使命と感じるようになり、それがタカギのこだわりとなっています。

天然繊維といえば綿、絹、麻、毛が一般的ですが、掘り下げていけば品質はピンからキリまであり、その中で選別された良品のみ肌にあたるように工夫し、開発に活かしてきました。

今後も天然繊維に拘った開発に注力し、いつまでも愛されるタカギの生地づくりに専念し、皆様に喜ばれる商品づくりの基礎を確立していきたいと思っています。

2018年8月21日 大田博文

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先日開かれたタカギ全体集会。その名も8(80袋編み生地の名称より)と名付けられました。子供さんもたくさん来てくれて、とてもほのぼのした会でした。

80会

・・・あとがき・・・

今回、大田さんに80ガーゼ袋編み(綿100%エアリーニット生地)の思い出を掲載させてほしいとお願いすると、「思い出が多すぎて、筆がなかなか進まない…」と何度か連絡がきました。
時には寝ていて思い出して筆をすすめる、ということもあったそうです。

今働くわたしたちは、会ったことのない初代の姿を聞くことしかできません。
これから100年とタカギが続くように「温故知新」。ものづくりも、過去を糧に前にすすんでいきたいなと背中を押していただきました。

これからもタカギの生地開発よろしくおねがいします。